調布駅前再開発で撤去の樹木「残して」
東京・京王線調布駅の駅前再開発事業にともない調布市は6月、推定樹齢100年のイチョウなど、駅南側を中心とした樹木100本を撤去する方針を示した。これに対して住民が会を結成して樹木を残すよう訴えている。会が調布駅前で週末に行なっている署名活動では、これまでに約9000筆以上が集まった。
駅前再開発事業は、京王線の立体化事業で調布駅が地下化されたことを受けたもので、駅前ロータリー拡大や地下駐輪場整備などを行なう。この内、地下駐輪場は2019年秋に開催されるラグビーW杯日本大会の会場として市内の味の素スタジアムが選ばれたことなどを踏まえ、同年3月までに完成させる計画だ。
ところが駅南口広場と、地下駐輪場予定地で9月に閉鎖された旧駅前公園にはそれぞれ約50本の樹木が植えられており、この内広場の9本はすでに伐採。多摩川に移植される旧公園の8本を除いて、原則としてすべて撤去される運命にある。
また、市は他の移植可能な樹木についても費用が概算で7000万円程度かかることなどを理由に、保全に難色を示す。住民で作る「調布駅前南口広場 樹木を守る会」のメンバーは「再開発は賛成だが、市民の財産として樹木の保全を前提にしてほしい」と話す。会では、保全には市長の決断が必要だとして市長への面談を求めている。
(斉藤円華・ジャーナリスト、10月21日号)
「保存樹木、上積み困難」 駅前伐採見直しで /東京
毎日新聞2016年11月25日 地方版
京王線調布駅前広場の整備に伴う樹木の伐採に市民団体が反対している問題で、長友貴樹市長は24日の定例記者会見で、89本中11本を残す見直し案の再考について「いろいろな観点から複合的に勘案したところ、極めて難しい。木は残したいが大変残念だ」と述べ、さらなる譲歩は困難との考えを示した。
全面的な伐採や移植を予定していた市が8日に示した見直し案は、11本を広場内、22本を市内の別の場所に移植する内容。「調布駅前南口広場 樹木を守る会」(高橋仁会長)の求めを一部、受け入れた。同会はロータリーの面積縮小などで、保存樹木数の上積みを求めている。【福沢光一】
京王線調布駅地下化に伴い、調布市が進める駅前広場の整備事業で、予定地内の樹木が撤去される計画に反対する市民団体のメンバーら約25人と長友貴樹市長の初めての意見交換会が8日、市役所であった。長友市長は「調布駅は市の表玄関。もっと広範に市民の声を聴く必要があったことを反省し、おわびする」と陳謝した上で、現存する89本のうち、広場内に11本を残す方針を表明した。【福沢光一】
市は駅前広場の南北約1万7000平方メートルの整備事業に着手しており、ロータリーの拡大や地下駐輪場の新設を図る。今春に駅前交番を建設するため8本を伐採したところ、市民の反対運動が顕在化。市民団体「調布駅前南口広場 樹木を守る会」(高橋仁会長)が樹木保全を求めて署名約1万2000人分を市に提出した。
この日の意見交換会で長友市長は、広場のシンボル的存在でもある駅南口のイチョウ(高さ17メートル)とユリノキ(同16メートル)を「現位置に保存する」と述べるなど、89本中6本をそのままの場所に保全し、5本を広場内の別の場所に移植することを明らかにした。残る78本中22本は市内の他の広場などに植え替える。
これに対し、市民団体側はロータリー縮小や地下駐輪場の不要論を訴え、話し合いの継続を求めた。終了後、高橋会長は「広場に残る木が11本では全然少ない。40本近く残せるはずだ」と、広場内の保存樹の上積みを求めた。
伐採されず現位置付近に保全される高さ15メートルを超すイチョウ(右)とユリノキ=調布駅南口で
駅前の樹木、保全の署名提出 市長に市民団体 /東京
毎日新聞2016年6月10日 地方版
京王線調布駅前整備工事で、駅の南口広場にあるクスノキなどの街路樹伐採に反対する市民グループ「調布駅南口駅前 樹木保全の会」(高橋仁会長)のメンバーが7日、調布市役所を訪れ、一本でも多くの樹木が残るよう1616人分の署名を長友貴樹市長あてに提出した。
同会によると、南口広場には55本の樹木があったが、駅地下化に伴う市の駅前整備工事で、既に7本が伐採されたという。市は55本全てを伐採する方針。同会は「調布駅前は日本一美しい駅前広場と言われ、市民生活に深く溶け込み、日常を癒やし励ましてきた」として、可能な限り残りの樹木の保全を訴えている。【福沢光一】